許さじの心地にぞなれりける。

— やむごとなき名言botさん (@meigen_heian) 2013年2月10日

出典

「許せない気持ちになってきた!」
KONAMIのミュージックコンポーザーであるDJ YOSHITAKAさんの発言です。ポップンミュージックで「ラブリーパラダイスチューン」という曲をプレーして、演奏終了後に適当なボタンを押すと、このセリフが鳴ります。

注釈・解説

許さ(サ四・未然)|じ(打消意志・終止)|の(格助)|心地(名)|に(格助)|ぞ(係助)|なれ(ラ四・已然)|り(完了・連用)|ける(詠嘆・連体)|。

☆許さじの
打消意志の助動詞「じ」を使って「許すつもりがない」ということを意味してます。「『許さじ』の」という感じで、許さじで文が切れてるので「じ」は終止形という扱いです。
「…じの」という表現は、百人一首の、定子様のお母さまの歌からとりました。
(ex)忘れじの 行く末までは かたければ けふをかぎりの 命ともがな
(→君のことを忘れないよというセリフが信頼できるうちに死にたい)

☆係助詞「ぞ」
強意の係助詞です。係り結びを起こすもののひとつで、結びは連体形になります。結びが連体形になる係助詞には、他に「なむ」があります。「ぞ」にくらべて、「なむ」の方が強調の度合いが弱く、散文にしか使われない、という違いがあるようです。
(ex)これぞ我が祈り、我が望み!いざ、叶えてむ!インキュベーター!

☆存続の助動詞「り」
「たり」に似た意味を持つ存続と完了の助動詞です。接続がちょっと特殊で、サ行変格活用なら未然形、四段活用の動詞なら已然形にくっつきます。どちらもエ段なのでわかりやすいっちゃわかりやすいと思います。連体形になっていたりすると、現代語で言うところの「動詞の可能形」に似てしまうので、知らないと間違えるかもしれません。
(ex)かささぎの 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける
「渡すことのできる橋」ではなくて「渡してある橋」です。ちなみに、「かささぎの橋」は織姫様と彦星様が一年に一度会えるときにかかる橋です。
あと、「にぞなれりける」という表現は、古今和歌集の仮名序からとりました。
(ex)やまとうたは、ひとの心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける
有名な一文ですね。本筋と何の関係もないですが、「ひとーよろづ」「種ー葉」の対応関係があります。

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