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古文の書き方 助動詞J その他の助動詞

助動詞編も残りわずかとなりぬ。時制系や推量系にあらぬ助動詞を紹介し奉りて、とく助詞編に入らむとぞ思ひ侍る。

す・さす・しむ

いづれも未然形接続なり。活用を示し奉らむ。
助動詞 未然 連用 終止 連体 已然 命令 備考
する すれ せよ 下二段型
さす させ させ さす さする さすれ させよ
しむ しめ しめ しむ しむる しむれ しめよ

活用はシンプルに下二段型なり。
意味を示し奉らむ。
@使役
メインの意味なり。漢文にて「AをしてBせしむ」とて親しまるるものなり。古文にては感覚も現代語のごとし。
(ex)などかTwitterにてクリエイターを気取るらむww?パクらせよ
A尊敬
こは、敬語を紹介せむ折に紹介せむ。今回は無視してよ。

る・らる

接続は未然形なり。常にア段+「れorる」の形となるなり。すなはち、未然形がア段となる(四段活用、ナ行変格活用、ラ行変格活用)→「る」他→「れる」を使用す。現代語にて「ら抜き言葉」の争点をなす助動詞なり。せめて擬古文を書かむとする折は、正確に書かなむ。
活用形を示し奉らむ。
助動詞 未然 連用 終止 連体 已然 命令 備考
るる るれ れよ 下二段型
らる られ られ らる らるる らるれ られよ

意味は四つあり。しかれども、現代語の「れる」「られる」とをさをさたがはねば、やすからむ。
@受身
現代語の意味とたがふことなし。英語などにては、主語を変更するために使用することあれど(These books are sold in that shop的なことなり)、古文にては、迷惑をこうむりし折などに使用す。
(ex)スプラッシュマウンテンにて水をかけらる
A尊敬
「る」「らる」の尊敬もまた、敬語を紹介せむ折に紹介し奉らむ。
B可能
可能の意味あれど、否定形ともろともにあること多し。
(ex)あやしきさまに、ものも言はず。
C自発
おもふ、感ず、おどろく、などの心情をあらはす言葉と付随して使用す。おのれの意志によらで、感情のおのづからあらはれし折に使用す。

ごとし

接続の規則は複雑なれば、型で書くべし。「AはBのごとし」「AはBがごとし」とすべし。
活用を示し奉らむ。
助動詞 未然 連用 終止 連体 已然 命令 備考
ごとし ごとく ごとく ごとし ごとき 特殊型

「ごとし」は比況の意を示す語なり。比喩の直喩法にある、「ようだ」に似たり。
(ex)深夜のカツカレー画像はまさにテロのごとし。
ごとしは現代語にもありて、感覚も同じきものなり。「ごとくなり」といふ形容詞風のものもあれど、省略せむ。(歌声あはせて潮のごとくに…などあり)
願望の助動詞が残れど、願望系は助詞ともろともに紹介せむ。次回は実践編にして、助動詞編は完結す。
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