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古文の書き方 助動詞H 断定

使用頻度No.1助動詞、「コロ助なり」の「なり」を紹介し奉らむ。「たり」もあれど…

なり、たり

接続は連体形、体言なり。「たり」の場合は、連体形接続はなく、体言のみなり。
助動詞 未然 連用 終止 連体 已然 命令 備考
なり なら なり なり なる なれ なれ ナリ活用
              
たり たら たり たり たる たれ たれ タリ活用
              

活用は形容動詞の活用語尾と同じきものなり。
意味は2つあり。
@断定
ものを断定する折に使用す。迷ひたらば「なり」。安定と信頼の「なり」。
A所在
(場所)+なる+(もの)と書きて、ものの所在をあらはすことあり。もの、の後はさながら文の続くこと多し。
(ex)天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも

げにまぎらはしき「なり」

「なり」は、受験生キラーの2文字なり。書き手とても、読者の御方に配慮すべく、「なり」の書き分けをよくすべし。
「なり」の2文字ある折は、以下の可能性あり。 @断定の助動詞
A伝聞・推定の助動詞
B動詞の「なる」の連用形
C形容動詞
以上の4つなり。意味の大きく変化するもののみ区別し、後は深く考えでもよからむ。

★@vsA
(ア)手前を体言とすれば、つゆ余地なく@となるなり。
(イ)手前を終止形とすれば、Aとなるなり。
(ウ)手前を連体形とすれば、@となるなり。
(エ)手前の動詞の終止形と連体形が同じき表記の場合は、読者の文脈判断能力にまかせむ。
読者への最大限の配慮をせむと思さば、
@とする折は「こと」を挿入
Aの伝聞の場合は「なる」に代へて「といふ」を使用
Aの推定の場合は「やうなり」などを使用せむ。
いささかニュアンスこそ変はれ、さりがたき誤解はなからむ。

★Bとして使用する場合
(ア)体言になる場合→手前に助詞を挿入すべし。「になる」「となる」などのごとく。
(ex)夏になる。パンダになる。
(イ)形容詞になる場合→連用形にてつなぐべし。

★Cとして使用する場合
@とまぎらはしきことおおけれど、現代語だにまぎらはしきこの2つは、誤解あるとも意味は変はらねば、よからむ。

今回は以上なり。次回は、実践編の2回目に挑戦せむ。
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