古文の書き方 助動詞D 打消・打消推量
打消しの助動詞をマスターし、NOといふ日本人となるべし!ず
接続は未然形なり。助動詞 | 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 | 備考 |
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ず | ざら | ざり | ざる | ざれ | ○ | ク活用型 | |
(ず) | ず | ず | ぬ | ね | ○ |
上の列はカリ活用の流れなれば、次の語が助動詞なる折に採用すべし。しからば、「美しからざる花」とはいはで、「美しからぬ花」といふべし。(漢文風の文を作らむとするならば、さしもあしからず)
完了の「ぬ」と区別すべく、接続と活用には注意すべし。接続をミスらば、完全に逆の意味と読者は思ひなさむ。数個例を示し奉らむ。
- 風の吹きぬ。
- 風ぞ吹かぬ。
- 苦労の末、チーズが裂けぬ。
- 苦労の末、チーズが裂けぬ時は、
意味は打消一択なり。
じ
「む」の打消なり。しからば、接続も、活用も、意味も、「む」に近し。 接続は、「む」同様未然形なり。活用を示し奉らむ。助動詞 | 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 | 備考 |
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む | ○ | ○ | じ | じ | じ | ○ |
連体形と已然形はをさをさ見ず。係り結び(後述)などある折に使用すべし。 意味も、「む」を記憶すれば、さしもかたからず。
@打消推量(⇔推量)
A打消意志(⇔意志)
以上なり。ね、簡単ならむ?
まじ
人気No.1の助動詞なり。「べし」の打消なり。接続、活用、意味は、いづれも「べし」に近きところあり。接続は終止形なり。「べし」同様、前の動詞がラ行変格活用の折は、連体形にすべし。活用を示し奉らむ。助動詞 | 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 | 備考 |
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まじ | まじから | まじかり | まじかる | まじけれ | ○ | ク活用型 | |
まじく | まじ | まじき |
上の列はカリ活用の系列なれば、後ろの語が助動詞なる折に採用すべし。
意味は、「べし」の打消しなり。意味は多けれど、記憶すべきことはをさをさなし。
@打消推量(⇔推量)
A打消意志(⇔意志)
B不適当(⇔適当)
C打消当然(⇔当然)
D禁止(⇔命令)
E不可能(⇔可能)
ね、簡単ならむ?
じ vs まじ
相関図を示し奉らむ。
上の図をご覧ずれば心得むと思ひはべり。「べし」は強化版「む」なれば、その打消の「まじ」は「じ」の強化版、といふことなり。ね、簡単ならむ?
今回は以上なり。次回はブラインド推量の助動詞「らむ」「けむ」に挑戦せむ。
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