古文の書き方 用言の活用B
前回に引き続き、用言の活用を紹介し奉らむ。
今回は、サ行変格活用動詞、形容詞、形容動詞の変更を紹介し奉らむ。
サ行変格活用
現代語の「する」は、特殊なる活用、サ行変格活用をとれり。
そは古語にても変ぜず。「す」「おはす」はサ行変格活用なり。
(※「おはします」はサ行四段活用)
活用形を示し奉らむ。
動詞 | 語幹 | 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 仮定 | 命令 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
する | ○ | せ | し | する | する | すれ | しろ | サ行変格活用 |
動詞 | 語幹 | 未然 | 連用 | 終止 | 連体 | 已然 | 命令 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
す | ○ | せ | し | す | する | すれ | せよ | サ行変格活用 |
サ行変格活用は、現代語と似たるところ多ければ、注意点はをさをさなし。終止形と、命令形のみに注意したまへ。
サ行変格活用の有用性
サ行変格活用を別記事に収録することには、大きなる所以あり。
汎用性のいみじく高ければなり。
@外来語の動詞化に使用可能
本来、よろづの教科書に、「漢語の動詞化に使用可能」と書かれたり。しかれども、漢語はさらなり、よろづの外来語の動詞化にサ行変格活用は有用なり。そは古文にても同じし。
例を示し奉らむ。
「散歩する→散歩す」(和語ならば「歩む」となるなり)「議論する→議論す」など、漢語の動詞化はかくのごとし。
「フォローする→フォローす」「リクエストする→リクエストす」「アウフヘーベンする→アウフヘーベンす」など、外来語の動詞化はかくのごとし。
すなはち、難き言ひ換へも、この活用あれば不要なり、といふことなり。
(※「ふぁぼる」(ラ行四段活用)など、造語には例外多し!!)
A活用を心得ぬ動詞を代用可能
「『開く』の活用形…『開かず』なれば、四段活用ならむ……!?いな、『開けず』なれば、下二段活用なりや…?あなや、いかにせまし!!」
かうやうのことは、文法の勉強中に多きことならむ。かうやうの折に、サ行変格活用が便利なり。
「開花す」「開門す」「開放す」など、意味に応じて漢語を動詞化せば、もとの活用形を忘れたまひし折に、すべて問題なく回避可能なり。
こを多用せば、軍記物語のごとき文となれば、注意すべし。(そを狙ひたまはば、あしからず。)
(ex.)男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。それの年の、しはすの、はつかあまりひとひのひに、門出す。
↓
紀土佐守貫之、漢文にて抄録さるる日記を仮名文にて抄録せむとて挑戦す。貫之、己が家族を率て、承平四年、京へ帰洛せむとて門出す。
こは、本文の意をいみじくそこなへども…。軍記物のごとき気色はあらむ…。(自信はつゆなし)
練習
けふの成果を練習にて試みたまへ!
★動詞化し、正しき文語の活用形にすべし。
@暇だったから、(散歩)た。→連用形
Aどんなに老け顔になっても、君を(愛)。→終止形
B(脂肪吸引)時は、血も出るらしいですよ?→連体形
C(リカバリ)ば、パソコンも治るでしょう。→未然形
Dおい紀貫之!(フォロバ)。→命令形
E(ミュート)ば、タイムラインが埋まらなくて済む。→已然形
解答はこちらなり。
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