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古文の書き方 助動詞B 存続

今回は、存続の助動詞「り」「たり」を紹介し奉らむ。今まで学びし助動詞に比ぶれば、さしも難からず。接続に注意すべし。今回は趣向を変へ、「り」と「たり」の相違点より説明し奉らむ。

り vs たり

「き」vs「けり」、「つ」vs「ぬ」と異なりて、「り」vs「たり」には、意味的な相違点はなくて侍り。この二つは、使用する動詞による違いあり。現代語における「れる」「られる」のごとし。

手前の動詞が
といふことのみなり。シンプルならむ!
ここにて、接続も紹介し奉らむ。接続は、 「り」の場合、上は必ずエ段となる、と記憶したまへ。
(ex)書けり。 学べり。 せり。 あり。(→★を参照すべし) 死にたり。/死せり。
「り」の接続は、不良の当て字のごとく、「サ未四已」→「さみしい」といふ記憶法あり。よろしと思ひたまはば。

★「ありたり」??
「あれり」とせむが、言葉の雰囲気的にはよからむ、と思ひ侍り。しかれども、「あり」は、ラ行変格活用なれば、原則、「たり」を使用すべきものなり。
古語辞典に曰はく、り、たりの語源は「あり」、「てあり」ならし。しからば、「ありたり」は、もとより「ありてあり」なれば、「あり」の重複あるべし。しからば、「あり」は、すでに「り」「たり」の意味を含む語として思ひなさむ。

り・たりの活用・意味

活用形を示し奉らむ。
助動詞 未然 連用 終止 連体 已然 命令 備考
ラ変型
たり たら たり たり たる たれ たれ ラ変型
先に書けるがごとく、もとが「あり」なれば、活用もラ行変格風の活用なり。

つづいて、意味を紹介し奉らむ。

@存続
ある動作が完了し、その動作の結果が続きたることを表現する語なり。こが基本の意味にて侍り。

A完了
こは、単にある動作が完了することを表す語なり。古語辞典を見るに、「つ」「ぬ」のごとき相違点はなかめり。解釈上、「…!?こは、存続に……あらざらむ……。如何にせまし……。」といふ折用に作られしものならむ、と思ひ侍り。完了の助動詞として使はむは、いとめでたきことにあらざらむ、と思ひ侍り。「つ」「ぬ」を使用せむ。

今回は短けれど、以上なり。次回は実践編とて、今まで学びし「き」「けり」「つ」「ぬ」「たり」「り」を用ゐて、例文を古語に翻訳せむ。
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