あ…ありしまにまに、今し起こりしことをかたらむ!「我は階段を上りし心地すれど、くだりにけり。」も…申すことを心得ざらむと思へど、我とて、されけることを心得ず…。

— やむごとなき名言botさん (@meigen_heian) 2012年10月3日

催眠術や超スピードなど、さなるかひなきものにはつゆあらず…。さらにかしこきものが片鱗を覚えたり…。

— やむごとなき名言botさん (@meigen_heian) 2012年11月21日

出典

                            やつを追う前に言っておくッ!
                    おれは今やつのスタンドをほんのちょっぴりだが体験した
                  い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……
         ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
         (.___,,,... -ァァフ|          あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
          |i i|    }! }} //|
         |l、{   j} /,,ィ//|       『おれは奴の前で階段を登っていたと
        i|:!ヾ、_ノ/ u {:}//ヘ        思ったらいつのまにか降りていた』
        |リ u' }  ,ノ _,!V,ハ |
       /´fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人        な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
     /'   ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ        おれも何をされたのかわからなかった…
    ,゙  / )ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉
     |/_/  ハ !ニ⊇ '/:}  V:::::ヽ        頭がどうにかなりそうだった…
    // 二二二7'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ
   /'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ /::::/-‐  \    催眠術だとか超スピードだとか
   / //   广¨´  /'   /:::::/´ ̄`ヽ ⌒ヽ    そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
  ノ ' /  ノ:::::`ー-、___/::::://       ヽ  }
_/`丶 /:::::::::::::::::::::::::: ̄`ー-{:::...       イ  もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…

ジョジョの奇妙な冒険第3部から、DIO様に会いまみえたポルナレフの発言です。詳しくはネタバレになりそうなのでやめときます。「いつのまにか」を忘れていました。まあいいか。10回目なので、大盤振る舞い(?)でふたつぶん紹介します。ちょっと長くなってしまいますが…。

注釈・解説

あ…あり(ラ変・連用)|し(過去・連体)|まにまに(副)|、
(名)|し(副助)|起こり(ラ四・連用)|し(過去・連体)|こと(名)|を(接助)|
かたら(ラ四・未然)|む(意志・終止)!|
「|我(名)|は(係助)|階段(名)|を(格助)|
上り(ラ四・連用)|し(過去・連体)|心地(名)|すれ(サ変・已然)|ど(接助)|、
|くだり(ラ四・連用)|に(完了・連用)|けり(詠嘆・終止)|。」
も…申す(サ四・連体)|こと(名)|を(格助)|心得(ア下二・未然)|ざら(打消・未然)|む(推量・終止)|と(格助)|
思へ(ハ四・已然)|ど(接助)|、
|我(名)|とて(格助)|、|さ(※)|れ(受身・連用)|ける(過去・連体)|こと(名)|を(格助)|心得(ア下二・未然)|ず(打消・終止)|…。

催眠術(名)|や(係助)|超スピード(名)|など(副助)|、
|さ(名)|なる(断定・連体)|かひなき(形ク・連体)|もの(名)|に(断定・連用)|は(係助)|
つゆ(副)|あら(ラ四・未然)|ず(打消・終止)|…。
|さらに(副)|かしこき(形ク・連体)|もの(名)|が(格助)|片鱗(名)|を(格助)|
覚え(ヤ下二・連用)|たり(完了・終止)|…。

長いっすね…。

☆懺悔
「されけることを」と書いてありますが、これは間違いです。サ行変格活用の未然形は「せ」です。でいて、この場合は「る」ではなくて「らる」を使うので、正しくは「せらるることを」になります。油断しました…!botの方のセリフは直しておきますが、懺悔のためにこのページは残しておきます。

☆懺悔その2「まにまに」
「まにまに」は、「なりゆきにまかせておくこと」です。今回の文も現代語では「…のままに…」ですが、ちょっと違います。今回の文では「あったことをそのまま」という意味であって、「今起こったことを成り行きで話すぜ!」ではありません。本当に正しいのは「ありしままに」(「ままに」も、「まにまに」と同じ意味が含まれますが、こっちの方が広い範囲の意味です)になってます。これにするとそのまますぎてつまらないのでこちらは変えないでおきます。許されるかはともかく…。
(ex)このたびは 幣もとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに
(ex)つれづれなるままに、日くらし、硯にむかひて、…

☆懺悔その3「とて」
「我とて」は、「私だって」みたいな意味で使いましたが、これは現代語の用法にはありますが、古語には無いようです。「とて」の用法は、以下の通りです。
@引用
(ex)「パンなからば菓子を食はばよきものを」とて、聞かでありつるを… (→「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」といって聞かないでいたところ…)
(ex)「飯食へる暇あらじッ!」とて出でつ。 (→「飯食ってる場合じゃねえ!」と言って出て行った。)
A理由・原因
(ex)逢はばやとて生霊を飛ばすべうもあらず。 (→会いたいからって生霊を飛ばすことはないだろ)
B目的
(ex)求めにとて行きつ。
この例文だと@っぽいですが…。
C…とかいう
D…だけあって

☆副助詞「し」
「今し」の「し」については、こちらをご覧ください。
関連項目:今しあるこの講堂こそ、我らが武道館なれ!

☆かひなき
意味がない、無駄、取るに足らないといった意味です。「チャチな」に相当してます。

☆かしこき
「かしこし」には、二つの漢字が当てられます。ひとつは@賢し、現代語にもある意味です。もう一つはA畏し、です。
@の方では、利口な、とか巧い、とかそんな意味です。Aの方は、恐ろしい、畏れ多いなどの意味があります。試験で問われるときは、Aの意味の方が多かったりします。@だと簡単すぎですからね。

☆「に」あり
「にあり」の「に」は、格助詞っぽい雰囲気を放っていますが、断定の「なり」の連用形になってます。実は、断定の「なり」は、「に」+「あり」の短縮形からできたといわれているからです。読み違えても解釈上そんなに違いませんが、ちょっと訳しちがえることがあります。たとえば、こんな場合など…。
(ex)今し、女性は太陽にあらず。
この文を、「今、女性は太陽に居ない」と訳すと、大幅な意味のずれが出てしまいます。「今、女性は太陽ではない」が正解です。ただ、「にあり」の「に」が、すべて断定ではないのでそれも気をつけないとだめです。例えば…
(ex)敵は、本能寺にあり!
この文だと、直観通り「に」は所在を表す格助詞になってます。試験なんかでは前者の方が圧倒的に出題率が高いので、まず前者を疑うべきですが、あくまで柔軟に考えるべし、ということです。

☆つゆ…(打消)
打消し後の前に「すべて」とか「つゆ」とかがあった場合は、「全く…ない」「決して…ない」「断じて…ない」などの意味になります。関連語は多いので、ちょっと別の記事に回します。

関連項目

今しあるこの講堂こそ、我らが武道館なれ!

>戻る
>ホームへ