古文の書き方 概説


世にあまたある参考書に、「古文を読む方法」を説明せるものあり。
我は、かうやうの先達よりめでたき説明をなすことはえせざらむ、と思ひ侍りしかば、
誰もせむと思はぬ、「古文の書き方」について紹介し奉らむ。
読者の御方も、古文の読み方など今し読みても、ゆかしき心地せざらむ。
我とて、企業秘密にせばや、と思ふ事なれど、
フォロワーの増えし事をいみじくかたじけなく思へば、
特別に書き記すものなり。

と、申せども、古文を書くことはさ難きことにはあらざらむ。
古文を専門となし、いにしへの日記を崩し字より日々よまむとしたまふ御方どもは、
書かむと思はば、とく書くことも可ならむ。
…書かむと思はぬのみなり。
さほどのガチ勢にあらぬ御方も、いささかコツを覚えなば、やすからむ。

注意

こたび説明せむとする方法は、我が常にとれるものにあらず。古文を書かむとする上にて、優先順位を説明せむとするものなり。また、我が常に書きぬる「古文のごとき文」、擬古文、偽古文を書かむとするものなり。学術的なることは、いと心得で侍り。そを了承したまふべし。

古文を現代語訳せむとする折に、重要なることは「逐語訳」なりき。
「風吹きぬべし。」とあらば、
「風(名詞)|吹き(カ四・用)|ぬ(強意・止)|べし(推量・止)」

「きっと風が吹くだろう。」
とせば、点数を多くたまはる、といふものなりき。
擬(偽)古文を書かむとする折には、かうやうのことはえうなし。
もとの現代語を明示することなければなり。
しからば、己がよしと思へる意訳を、つゆはばからでなすことぞ重要なる。
果ての目標は、読める御方が、「あな、古文のごとし」と思ひたまはむ文を書くことなり。
意訳、などとさかしきこと申せど、すなはち、難きことはかけて考えでよからむ、といふことなり。

古文を書かむ

古文がごとき文を書くに、優先すべきことは以下の順にて侍り。 短き文によりて、イメージを示し奉らむ。
文章 変更の内容
昨日なにしてたのメール送ったのに返信来ないから心配してたんだよ もとの文章。
昨日なにしてたのメール送たのに返信来なから心配してたんだよ 歴史的仮名遣いへの変更。をさをさ変化なし。(苦手ジャンルなれば、問題あるやも…><)
昨日なにしぬる。メール送り、のに返信来、から心配し、だよ 助動詞の変更。助詞の変更を後回しにし侍れば、文のつながり悪し。
昨日をかしぬる。メール送りしかども返信来ね、心配しきかし 助詞の変更。用言の活用は、裁量にて。
★昨日は何をかしたまひぬる。メール送り奉るに返信来ねば、心配し侍りきかし。 敬語の挿入。尊敬、謙譲、丁寧語の揃ひぬる、ミラクルセンテンスなり。
昨日は何をかしたまひぬる。メール送り奉るに返信来ねば、心配に思ひ侍りきかし。 動詞の変更。
昨日は何をかしたまひぬる。メール送り奉るに返信なければ、こころもとなく思ひ侍りきかし。 形容詞の変更。
昨日は何をかしたまひぬる。せうそこ送り奉るにかへりごとなければ、こころもとなく思ひ侍りきかし。 名詞の変更。これにて完成なり。
昨日は何をかしたまひぬる。せうそこ送り奉るにかへりごとなければ、こころもとなく思ひ侍りきかし。待たましも かばかりこそは あらましか 思ひもかけぬ けふの夕暮れ 本フレーズどり。こたびは、和泉式部の和歌を。

目標は、★印のごとき文をやすく作ることなり。
動詞、形容詞、名詞の変更は、いと難ければ、我もえせぬこと多し。
…しからば、我はえ伝へず。
しかれども、こは重要度も低からめば、えせでも、けしうはあらざらむ。

ご要望あらば、今後文法事項の解説をしつつ、より長き文の翻訳をせむと思へど、如何に。
そはさかしき様にて、かつ、けふの内容のみによりて易く擬古文を書きたまふ御方も多からめば、不要ならむとも思ひ侍れど…。